北アルプス立山テント泊の写真。それから、ある夏の日の午後のストーリー。

2014.8.14 ファティマとアンジャリムドラ

わたしは特急列車がすき 音も振動もなく静かで けれどとても速い乗りもの
車内は(陽の高い暑い午後でさえ)涼しくて心地よくてわたしは眠りたいような でももったいないから起きて 熱いコーヒーを飲みながら本を読んでいたいような そんな気がする

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ある日曜の午後 わたしは特急列車に乗っていた わたしの隣は女性 彼女の足元には60Lほどの大きなザック 登山用ストックと ごついトレッキングシューズも見える タンクトップにトレッキングパンツ それから脱いだフリース 窓の外を流れる景色を飽きずにずっと眺めている彼女もまた山帰りと一目で分かった

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頬杖をつく彼女の目が車窓の外の山々を追う一方 わたしの目は手元の小説の活字を追い わたしたちは隣同志 それぞれの時間 それぞれ静かに過ごしていた あれはたしか列車が立川に到着する頃だっただろうか 車内にアナウンスが流れ それまで微動だにしなかった彼女が動いた気配に わたしが顔を上げると 彼女と目が合った わたしたちは2度目の笑顔を互いに向けあい わたしが彼女に「降りる?」と聞くと彼女が「ノー」と言ったので そこからわたしたちは ひとり者同志 出で立ちの似た者同士 お互いその週末に登った山について報告しあった 彼女は2泊3日ひとりで北アルプスを縦走してきたところだった うわぁ この人好きだな!とおもったのは KYOTOでもTOKYOでもなく彼女は1か月間 日本の東西南北の山々を登っていたから. 彼女は箱根へ向かっていた

「箱根から今日中に車でつくばへ向かうの」

「どうして?せっかく箱根へ行くのに温泉でゆっくりしないの?車で?つくばへ?こんな時間から?つくばに何があるの?それになによりつくばはわたしの故郷よ」

「そうなの?!わたしも10年前 日本に初めてきたとき つくばに住んでいたよ」

「ほんとう?!当時つくばで学生だったの?」

「いいえ 研究機関で研究員として働いていたの」

わたしは驚いてイスから飛び起きて彼女の目を正面から覗き込み彼女の腕を掴んだ

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「まって!わたしも10年ほど前につくばの研究機関で海外研究員を招聘する仕事をしていたのよ?… 当時所属していた研究機関は?」

 

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彼女は数日後にスロバキアへ帰国し わたしたちは一度emailでやり取りをした いま考えてもスリルを感じて鳥肌がたつ偶然の出来事だったよねと
彼女が住む小さな村にも山があるようで kumikoがここへ来て一緒に山を登れたらlovelyだという すてきだなとおもった ヨーロッパには久しく関心を払っていなかったけれど 東欧であれば あっち側もおもしろそうだ

あの特急列車がホームに滑り込んできて彼女の姿が目に入った瞬間 すでに何か感じるものがあった それは彼女も山帰りっぽかったことと 彼女の登山ファッションスタイルが飾り気のない気取りのない雰囲気で惹かれたからだと思った でも実は裏でもっともっと大きな引力が働いていた

このストーリーはまだこのあとも続く なぜなら わたしは彼女のex-husbandに会うのだ 彼女が10年前一緒に同じ研究者として日本へやってきた人は 今つくばに住んでいるという ぜったいに会って!と言われ わたしは(ここまできて)会わないわけないじゃない!と力強く思い にっこり彼女に向かって笑った

 

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