生きて、染めて。

DSC_1917マングローブの染料は木の幹を煮出して染液をとる。幹は一番外側の硬い皮を剥いで出てくる内側の柔らかい部分。とはいっても、マングローブは勝手に採ることはできない。「じゃあ、おばさん、どうやって入手しているの?」と聞くと「道路工事とかで伐採されたマングローブからいただくのよ」そういえば、マングローブカヌーのガイドさんも、台風でなぎ倒されたマングローブの木々でさえ勝手にいじったり処分することは禁止されているといっていた。それほどマングローブは天然記念物として保護されている。ストールはまずいくつか結んで玉を作っておく。そうするとその部分は薄く色づくようになる。そして海水に浸す。「だって」と言い、おばちゃんは店先を指差す。「目の前に海があるし。それにできるだけ西表感を出したほうがいいでしょう?」海水は、布をマングローブの染料に浸したときに色がのりすぎるのを防ぐ。いよいよ染め始め。グラデーションを作るために数回に分けて少しずつ布に染料を重ねて含ませていく。ストールの片側の先端は黒っぽい色につけてほんのり濃くする。「これもマングローブだけの染料?」「これはマングローブに木酢液を加えたものよ」「木酢液は炭が原料だから、これで染めた布をドライヤーで乾かしているときは燻製っぽい匂いがして、お腹すいてるときは大変なのよ!」

DSC_1910マングローブの染料はやさしい茶色。アフリカの大地を彷彿させるような色。染めた布を開くときは、少しドキドキする。自分の未来が紐解かれていくようで。おばちゃんは何度も何度も「こう染めたいという意思があって染めていくけれど、最終的には開いてみなきゃどんな風になってるかなんてわからないものよ」といった。布が最初にどれくらい海水を吸ったか、結び目にどれくらい染料が入ったか、そういう些細な具合が色の出方を変える。

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おばちゃんはバナナによく似た芭蕉という植物を育て、その繊維から糸を作り、染色をして機織り機で一枚の布にしてゆくという。植物から糸を生み出して、織りたい色を糸にのせるところから始めるなんて。

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はっと気づいて時計を見ると帰りのバスの時間。私はあわてて帰り支度をした。外はパラパラと雨が降っていて、おばちゃんに見送られながらバスに乗り込み手を振った。帰りのバスの中、次第に強くなってゆく雨が激しく窓を打つのを見ながら、おばちゃんに会えてよかったなと思った。私のマングローブ染めは、強い色が出ていない淡くて優しい色合いに仕上がった。これから3ヶ月ほどかけて、風通しのよいところに下げ、お日様にあてて、色を定着させてゆく。

DSC_1927ギャラリーゆくい
場所は島の東部と西部の中間くらい。西表島ジャングルホテル パイヌヤマの入り口にあります。私がマングローブ染めに行った日はレンタカーを手配しておらず、宿泊していた大原からここまでバスで向かいました。島の東部と西部をつなぐバスは1日に数本出ています。大原からは往復の運賃をそれぞれ払うのではなくバス1日乗車券を購入したほうがお得です。ギャラリーゆくいでは、ストールやTシャツ・バンダナなどの染め物や、ブレスレットなどアクセサリー作り、シーサー作り、機織り機で(しおりなど)数時間でできる簡単な織物の体験ができるようです。


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